Kanpō (官報) · 23 Oct 2026 · 5 vistas
最高裁が刑事・少年事件の識別符号規則を制定し電子手続の本人確認を整備
Por FactBox Admin

最高裁判所は令和八年十月二十三日付の官報で、最高裁判所規則第十四号(刑事事件等に関する手続において用いる識別符号の付与等に関する規則)を公布した。刑事事件および少年事件の手続で電子情報処理組織を使用するための識別符号について、付与の方法から使用停止までを定めるもので、全四条と附則で構成される。施行日は**情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和七年法律第三十九号)**の施行の日とされ、公布時点では具体的な期日は示されていない。
規則は識別符号を「文字、番号、記号その他の符号であって、その使用者ごとに異なるものとなるように割り当てられることにより、特定の使用者を識別することができるもの」と定義した。対象となるのは刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)、刑事訴訟規則(昭和二十三年最高裁判所規則第三十二号)その他の法令が定める電子情報処理組織であり、民事事件を対象とする既存の枠組みとは別建ての規則となる。公布文には最高裁判所長官 今崎幸彦の名が記されている。
届出事項と本人確認を定める第一条の枠組み
第一条は、識別符号を得ようとする者にあらかじめ最高裁判所への届出を義務づけ、使用に係る電子計算機から入力して送信する方法を求める。届出事項は次の五号に限定して列挙された。
- 氏名および住所(法人や代表者・管理人の定めがある社団・財団にあっては名称、代表者または管理人の氏名、主たる事務所の所在地)
- 電話番号
- 電子メールアドレス(**特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)**第二条第一号に規定する電子メールで、最高裁判所の細則が定める通信方式を用いるものに限る)
- 生年月日(法人等にあっては代表者または管理人の生年月日)
- その他必要な事項として最高裁判所が定める事項
届出者は最高裁判所が定める方法による本人確認措置を講じなければならず、最高裁判所は届出を受理したときは識別符号を付与する。ただし、付与が相当と認める者については届出を経ずに付与できる例外も設けられた。
弁護士の業務利用と暗証符号の管理
第二条は弁護士が業務として届出をする場合、弁護士であることを証明しなければならないと定めた。最高裁判所は受理したときは弁護士の業務として電子情報処理組織を使用するための識別符号を付与する。
第三条は付与後の管理を扱う。識別符号の付与を受けた者は電子計算機上で暗証符号を設定して遅滞なく届け出るほか、届出事項の変更、暗証符号の変更、識別符号の使用廃止のいずれの場合も遅滞なく届け出る必要がある。最高裁判所は、識別符号の使用の都度、届け出られた暗証符号とは別の暗証符号を付与することができるとされ、届出を経ずに付与された者については別暗証符号の付与が義務づけられている。
使用停止の六事由と九十日間未使用の取扱い
第四条は最高裁判所が識別符号の使用を停止できる場合を六号にわたり列挙した。
- 偽りその他不正な手段により識別符号の付与を受けたとき
- 付与を受けた者以外の者が識別符号を不正に取得したとき
- 裁判所の電子計算機に対して**不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)**第二条第四項に規定する不正アクセス行為をしたとき
- 付与の日から九十日間識別符号を使用しなかったとき、その他使用の必要がなくなったと認めるとき
- 弁護士が法令の規定によりその業務を行うことができなくなったとき
- その他、電子情報処理組織の使用を継続することが適当でないと認める特別の事情があるとき
施行までの経過措置を定める関連告示
同日の官報には、規則の運用を支える最高裁判所の告示も掲載された。最高裁判所告示第八号は民事事件等に関する手続の本人確認方法を定める要綱(令和八年最高裁判所告示第五号)を改正し、新規則により識別符号の付与を受けている者が改めて届出をする場合に、既存の識別符号を裁判所に提供させる方法を追加した。最高裁判所告示第九号は改正法附則第三条第一項本文に規定する刑事事件の範囲を定め、施行日から令和九年五月九日まで、同年五月十日から六月十三日まで、同年六月十四日から七月十一日まで、同年七月十二日以降という四段階で対象事件と裁判所を区分している。
弁護士にとっては、刑事・少年事件の電子手続を使う前提として氏名・連絡先・生年月日などの届出と弁護士身分の証明、暗証符号の設定が新たに必要になる。裁判所実務では、九十日間の未使用や弁護士業務の停止が識別符号の使用停止事由となるため、担当事件のない期間の管理も運用上の論点となる。
出典:官報(令和八年十月二十三日付)掲載の最高裁判所規則第十四号「刑事事件等に関する手続において用いる識別符号の付与等に関する規則」(最高裁判所、令和八年十月二十三日、最高裁判所長官 今崎幸彦)。関連:最高裁判所告示第八号、最高裁判所告示第九号(同日付)。