Kanpō (官報) · 28 Sep 2026 · 17 vistas
農林水産省が有機農業基本方針を改定、三〇年の需要三二八〇億円目標を設定
Por FactBox Admin

農林水産省は、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)第6条第1項に基づき「有機農業の推進に関する基本的な方針」を改定し、同条第4項に基づいて令和8年9月28日付の官報(官庁報告)で公表した。公表文書には農林水産大臣 簗和生の名で、二〇三〇年(令和12年)の国内有機食品需要を三二八〇億円、我が国からの有機食品輸出を二一〇億円とする見通しが明記されている。有機農業者、流通・加工事業者、輸出関係者に直接影響する内容である。
基本方針は、有機農業推進法に基づき各種施策を総合的かつ計画的に講じるための「基(もとい)」と位置づけられ、近年の国内外の情勢を踏まえて変更された。背景には、二〇二一年(令和3年)のみどりの食料システム戦略(二〇五〇年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を二五%、一〇〇万haへ拡大する目標)、二〇二二年(令和4年)のみどりの食料システム法(令和4年法律第37号)の制定、二〇二四年(令和6年)の食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)改正による「環境と調和のとれた食料システムの確立」の基本理念への位置づけがある。二〇二六年(令和8年)6月にはみどり加速化GXプランが決定され、二〇三〇年を目途に集中的に取り組む施策の一つとして「世界で勝てる有機農業の面的拡大」が掲げられた。
需要と輸出の見通し、進捗は見通しを上回る
- 国内有機食品市場の推計額は、二〇一七年(平成29年)時点の一八五〇億円から、二〇二五年(令和7年)時点で三五九五(二七六六)億円へ拡大(消費者物価指数(食料)により補正)。
- 有機同等性の仕組み等を利用した輸出の推計額は、二〇一七年の一七五億円から二〇二五年に二六五億円へ増加し、茶の輸出拡大等により見通しを上回るペースで伸びている。
- 二〇三〇年の輸出見通し二一〇億円は、こうした実績等を前提に設定された。
国産シェア八四%と消費者利用割合二五%の目標
国は地方公共団体と連携し、農業者や事業者その他の関係者の協力を得て、有機農業の生産拡大と国産シェアの拡大を図る。そのため、二〇三〇年(令和12年)に有機食品市場に対する国産シェアを**八四%にすることを施策目標とする。ただし国産シェアの推計値は二〇一七年時点の約六〇%から二〇二四年時点で約五三%へ低下しており、国産有機農産物の格付数量は増加傾向にあるものの、生産拡大を上回るペースで市場が拡大していると推測される。消費面では、有機食品を週一回以上利用する消費者の割合を指標とし、二〇三〇年に二五%**とする取組目標を設定した。
供給力強化と需要拡大の好循環を狙う施策
方針は、生産・調達、流通・加工、消費の各段階が連携し、コスト高や供給の不安定性といった課題に対応して低コストで安定的な有機食品の広域供給を可能にすることを求める。具体的には次の取組を進める。
- 産地の育成・強化、新規参入や慣行農業からの転換促進、技術の開発・普及による生産性向上、流通の合理化。
- 有機農業の意義・特徴の訴求、販路の多様化、消費者ニーズに対応した商品の供給、国等の機関における活用の推進による需要拡大。
- 技術開発・普及のためのネットワーク構築と、有機JAS制度を利用しやすい環境づくり。
- 地域ぐるみで生産から消費まで一貫して取り組むオーガニックビレッジは、二〇二二年の取組開始以降、二〇二五年12月までに一五四市区町村が取り組んだ。
方針はまた、有機農業が農業者その他の関係者の自主的な活動に支えられ、地域の実情に応じて様々な形で取り組まれてきたことを考慮し、地域の実情や関係者の意向を尊重するとともに、慣行農業を営む者との相互理解のもとで各種取組を行うよう留意することを求めている。国際的にはEUのファームtoフォーク戦略など経済と環境の両立を目指す動きがあり、有機農業の推進は食料安全保障やSDGsの達成、食育、担い手の確保、中山間地域の特色ある農業の展開にも寄与すると位置づけられた。
有機農業者にとっては転換・生産拡大の支援と有機JASの利用環境整備が、流通・加工事業者にとっては広域供給と流通合理化が、輸出関係者にとっては有機同等性を活用した輸出拡大の枠組みが、それぞれ今後の施策展開の前提となる。国産シェアが低下傾向にある中で、二〇三〇年に向けた目標の達成状況が今後の政策判断の焦点となる。
出典:官報(令和8年9月28日)官庁報告「有機農業の推進に関する基本的な方針の公表について」、農林水産省(農林水産大臣 簗和生)、**有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)**第6条。